こんにちは! てらっちです♪
積ん読本をひたすら解消しているところ。
今回の本もなかなかインパクトの強い一冊。
作者の1人佐藤友美さんは、こちら↓の本で初めに名前を知った方。
周りの人たちがみんな憧れて、この本で意識が変わったと、人生を変えられたという人も続出する一冊。
だから、ずっと気になっていた人の1人です。
その友美さんが、1年半かけてインタビューをして歩くこと、191人、そこまでかけて一冊の本に仕上げたのが今回ご紹介する一冊『道を継ぐ』。
191人にインタビューってすごくないですか?どれだけこの仕事に命かけているんだって人数です。
この本はある人についてインタビューをして歩き、まとめたのだけれど、どうしてそこまで?と疑問に思いながら読み進めました。
友美さん自身、鈴木さんと会ったのが10回ほど、ちゃんと話をしたのが一回飲みにいったときくらいだそう。それなのに、1年半もかけて191人にインタビューして本にするというのは、生半可なことではない。
その人というのが、美容師『鈴木三枝子』さん。
もうこの本を出す8年も前に、それも49歳という若さで亡くなった方でした。
美容関係でない私には、さっぱり聞いたことのない名前だったんだけど、本を読み進めるうちに、その人のエネルギーの破壊的な大きさや、人間の度量の大きさ、そして美容という仕事に対する厳しい巨岩のような姿勢を、他人にも自分にもこれでもかと乗せてくるパワーがズンと、私の胸をついてきます。
友美さん自身、話したことが一回だけの人のお墓に、人生の節目にはお墓まいりをし挨拶をしているという。
そして墓参りするたびに、だれかしらが参った跡があるとか。
墓地近くの花屋では鈴木さんの好きな「白いカラー」を買い求める人が多く、「鈴木三枝子」さんという名前は、その花屋さんも、お寺さんにも知るほどになったそうり
どれだけ慕われていた人なんだろう。
と本を読み進めると、思っていたイメージとかなり違う。
慕われる、といっても、、微笑んで優しくて……というよりは、口が悪いし、蹴飛ばすし、怒鳴るイメージ。
だいたい、サロンで右往左往しているスタッフに
「お前手伝ってんのか、邪魔してんのか、邪魔してるならどけ!」と足蹴りしたと言うのだから、かなりきつい人だ。
すぐに叱って蹴り飛ばして、友美さんがインタビューをしていても、どれだけ叱られたかをみんな、競って語ったようだ。
でも、それをみんな喜んで語ると言う。
インタビューが終わって入稿近くなっても、「まだ言い残したことがあった」なんて連絡が後を絶たなかった。
本当にどんな人?
それだけきつく叱る人なのに、指導を受けた人は飲みに誘われるのをとても喜んでいたし、心待ちにしていた。
そんなにきつい人なのに、怒られたことが自慢のように関係者は語る。
そして亡くなってからもみんな自分から墓へ行って報告するくらい、慕う。
不思議な人だ。
鈴木三枝子さんが亡くなったのが49歳。ガンで亡くなったそう。
その亡くなる直前まで、痛いとか、辛いとか泣き言を一言も言わずに、凛として舞台に立ち、ブローの指導をしてきたという。
鈴木さんの生き様は、昨今もてはやされる「スマートな生き方」や、「無理をしない生き方」とは真逆だった……中略……熱く、泥臭く、愛情深く、誰に対しても真剣勝負。仕事への取り組み方と言うよりも、取っ組み合いかた、人との関わり方と言うよりも、ぶつかり方。ねっとりと密度の高い人生は、ともすれば、今の時代から失われていきそうな生き方なのかもしれない。
読んでいるだけで、会ったこともない鈴木さんに私の人生のダメ出しをされている気がした。
限界を決めるのはあんたじゃない、私だ。諦めたらそこまでしか成長しない。
スタッフの教育で一番大事なことはなんなのか、わかってるか?
バーカ、愛だろ、愛。
ほとんどスクールウォーズばりの熱い指導とぶつかり方。
鈴木さんは、8年経った今でもみんなの心の中に生き続けている。
おそらく友美さんのように、何か人生の節目や報告があると、今でもみんな墓に話をしにいくのだろう。
この本を読んでいると、胸の中に鈴木さんがドカドカと土足で入り込んでくる錯覚を受けた。
何甘えたこと言ってんだ!
仕事に人生かけてんだろ。
私が今47歳だから、鈴木さんがガンを宣告された年齢である。
ガンを宣告されてもなお、仕事や最愛のパートナーのことを最後まで考えつづけて激走した鈴木さん。
あんな死に方、いや生き方ができるだろうか。
『7つの習慣』で、自分の葬式で周囲に何と言って声をかけてほしいか?というワークがあるが、その時はあまりイメージがわかなかった。
今なら鈴木さんのようなカッコいい死に方がしたいと言える。
パワフルでブルドーザーのような、決してスマートではない泥臭い生き方を全うした鈴木さん。
一介の読者だが、読んでいるだけでも心の中に鈴木さんが入り込んできた。
そして身内以上にきつい言葉で、叱りつけてくれる。
その言葉には愛がある。
愛があるから、胸を打つ。
ありがとう、鈴木さん。
そして友美さんにも感謝しなきゃ。
鈴木さんのことを教えてくれて、ありがとう。
いつか、赤穂浪士とともに、鈴木さんの墓にお参りをしてみたい。