こんにちわ、てらっちです♪
通勤中にAudible(オーディブル)を聞いています。
眼を使わずに本を読めるということがこんなにも快感かと思う日々。
もしかしたら、聴覚優先なのかしらねえ。
毎日わくわくしながらいろいろ多種多様な本を雑食気味に聴いております。
そんなわたしが、今聴いている本をご紹介。
本日紹介するのは、もう涙なしでは聞いていられないため、朝の出勤時に聴くこと禁止にした一冊(笑)
『壬生義士伝』
著者は言わずと知れた、浅田次郎氏です。 浅田先生大好きなのよ。
柴田錬三郎賞受賞、テレビ化も映画化も漫画化もされているので、ご存知の方も多いかと思います。
『壬生義士伝』の吉村貫一郎
内容は盛岡の南部藩を脱藩し、その後新選組に入り、『鬼貫』とも称された吉村貫一郎が主人公。
『鬼貫』というと恐ろしい人のようですが、見た目はその逆です。
吉村は、身体は細くて汚らしいカッコをしてとても弱そう。絵に描いたような田舎侍。
その田舎侍さん、子供たちに物書きを教える教養があるかと思えば、一転せこくてお金に卑しく、人をゆすってお金をせびります。
こんな人が強いの?と疑問に思いますが、ところがどっこい。剣を握ったとたん人格が変わり、新選組でも最強の剣士と言われる斉藤一が一目置くほどの人物でした。斎藤一が、自分の二の太刀を避けたのは吉村が始めてだったとしみじみ語ります。
そんな強い人だから、新選組で新しく入ってくる隊士たちの指南役を請け負ってました。
いつもやさしい笑顔の吉村貫一郎。
奥さんが大好きだった吉村貫一郎。
家族を何よりも愛していた吉村貫一郎。
家族のために人生のすべてをかけた吉村貫一郎。
誰よりも義を重んじ、強かった吉村貫一郎。
そんな吉村について、インタビュー形式で、関係者の語りでつづられていきます。
侍の上下関係
吉村は、知識も剣の腕も一流でありながら、足軽という身分のため貧しい暮らしを余儀なくされていました。当時の身分というのは不可侵で、昨日まで共に遊んでいた竹馬の友であっても、その友が藩主とあれば、その下にしたがう足軽は、ある日から友のことを殿様とあがめ、膝をつくことになります。そのときのまだ少年だった吉村の気持ち、友の大野の気持ちはどんなものだったのでしょう。友が藩主の家系で、自分がその下で働く足軽だということは、ただ現在の会社の上司部下といった上下関係とは違う、侵してはならない身分の差が生じるということ。友であっても、頭を下げて忠心を誓うということ。
時代背景は、幕末の飢饉の時代だった
もうひとつ想像するしかないことが、飢え。
今は飽食の時代ですから、飢饉で食べ物がなく死んでいく時代の人たちの気持ちというのはわかりません。
この時代も、何年も何年も飢饉が続き、人々が飢え、民が死んでいったそうです。そんな時代背景もあり、家族を食べさせるため、貧乏な足軽の吉村が考えたのが、脱藩でした。よそで金を稼いで国へ送金し、家族を養うということでした。
時代の荒波に抗って生きた男
ただ貧しい中、苦労してお金を稼いで送金して、涙なみだというわけではありません。
なぜこの人はこんなにすばらしい人なのに、お金にケチにならなければならなかったのか。こんなにやさしい人なのに、人を斬らなければならなかったのか。ここまで家族を愛しているのに、無残な死に方で死ななければならなかったのか。なぜ一番の理解者である友が、吉村に腹を斬れと言わなければならなかったのか。
ただ分かるのが、自分のために生きてはいなかったということ。
すべて家族のために生きていたということ。
そのやり方が正しいとか間違っているとか、吉村自身も大変悩みます。
なみだなみだなみだ
とにかく。
もう上下巻の下巻なんて、途中から涙涙です。
通勤の朝に聞いていたら、本当にずっと泣きどおしになってしまい、会社に着いた時にはどうかしたのと聞かれたほどです(苦笑)
聴いていた初めのころは、なんでこの人はそんなにせこいんだ、と思うのですが、すべて彼の家族への愛のためだったんだと知ると、もうあなた、涙なしではいられません。
今の時代なら、学校の先生にでもなったら最高の指導者になったでしょうに。
それだけの剣の達人なら、それだけで食べていけたでしょうに。
でも、でもそんな不条理な世の中の流れに抗いながら、義を仁を、そして愛を貫いたのでしょう。
それにしても、浅田次郎さんのこの作品は、構成から設定から人物まで、もう素晴らしすぎました。
Audibleでこの作品を聴く良さ
Audibleのいいところは、朗読の方が気持ちよく読んでくれるところ。南部なまりの吉村の声が、せつなくて、いとおしくて、涙があふれます。
毎度思うのだけど、声優さんて芸達者なのですよ。斎藤一のときはかっこよく、吉村のときはちょっと情けないんだけど、やさしい声で。
声優さんのおかげで、よけいに感情が引き込まれるのかしら。
まとめ
そんなわけで、涙なみだの作品ですので、けっして会社に行く前には聴かないでください。
もう仕事場につくころには泣き崩れてます(笑)
てらっちでした♪